ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活
 やはりいつ戻れるかとか、そう言う質問には言葉を濁される。

(これ以上聞いたって無駄か)

 なのでそういった質問を聞くのはこれで止める事にした。
 代わりに……

「この研究所にはどれくらい運ばれて来てるんですか?」
「あーー……それも機密保持が」
「うちの高校の生徒何人かいますよね? ニュースで知りました」
(だから機密保持もクソもない)
「そうですか、じゃあお教えします。田中さんと多賀野くん含めて30人くらいです。今は」

 100人くらいはいるだろうかと予想していたので、30人くらいというのは意外だった。
 まあ、ここは医療研究所であって病院ではない。キャパシティの問題もあるかもしれない。

「ここから出られた人はいるんですか?」
「……ゾンビなら」
(生きた人間はずっとここにいるんだ)
「ありがとうございます」

 私はここで質問を終えた。もう質問が無い事を察した彼女達はどこか安心しているように見えた。

「では失礼します。また夕食お持ちしますね」
(あれお昼だったんだ)
< 131 / 161 >

この作品をシェア

pagetop