ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活
 夕食が運ばれてきた。カレーライスにキャベツのコールスローサラダとりんご。カレーライスは見かけよりもスパイスが効いていてピリッとしている。それにご飯の量も多めだ。
 カレーライスのピリッとした味わいをコールスローサラダが和らげてくれる。コールスローのドレッシングの酸味とキャベツの甘みが合わさっているのがよく分かる。

「ごちそうさまでした」

 夕食が終わるとまた目隠しをされて車椅子に乗せられ勇人の元へと移動し、彼に血を与える。
 それが終わればまた目隠しされて車椅子で自室に帰る。

(いつまで続くんだろう)

 この生活がいつまで続くのか。そう考えると先の見えない不安を感じ、身体全体が押しつぶされそうな感覚を覚える。
 
(テレビでも見よう)

 唯一の娯楽はこの小さな薄型のテレビだけだ。だが、チャンネルを付けても相変わらずゾンビパニックのニュース番組が映し出される。

(サブチャンネルはどうだろ)

 サブチャンネルに変えると水族館を水槽内をゆったりと泳ぐマナティの姿が映し出される。水槽の水はやや緑がかっていて、底にはリボンのような海草が設置されていた。
 頭だけ水上に出しているマナティは飼育員からキャベツを貰うと、ぷかぷかと浮かびながらキャベツを喰む。
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