ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活
「会議室ですか?」
「はい。行き方分かります?」
「いえ全然。いつも部屋の外から出る時は目隠しされていたので外がどうなってるのか分からないんです」

 私がそう正直に彼女に告げると、彼女はあっさりとそうですか。と返す。まるで私がそう反応するのを予感していたような気さえしてしまう。

「でしょうね。皆さんそうですから。でもご心配なく。ちゃんと誘導しますので」
「……お願いします」
「昼食を食べ終わったらナースコール押してください」

 そう言って女性はすたすたと退出していった。白い机に乗った昼食に目を移す。
 昼食は炊き込みご飯に春雨と肉団子のスープ、ほうれん草と卵の炒め物にピンク色のプラスチックのコップに入ったホットミルクだ。

(うん、美味しそうだ)

 先にスープから頂く事にした。スープの色は薄めだが味はしっかりと出ている。ニンジンに青菜にレンコンにしいたけと野菜もたくさん入っていて健康的な印象を受ける。
 春雨は平たい形をしている。あまり見ない形だ。そして肉団子からはしょうがの風味が感じられる。

「うん、美味しい。これは幾らでも食べられそう」

 
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