ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

　豚汁は我ながら良く出来たと思う。出汁と味噌の相性がとても良くて美味しい。おにぎりも綺麗な三角形では無いが十分美味しい味だ。ふりかけの力は強い。
　食事を進めながら情報も集めていく。

「ゾンビは全国各地に広がっています。発生源となった桜風医療研究所の上空から中継です」

　桜風医療研究所。桜風と書いておうかと読むその医療研究所は私の父親が働いている職場だ。

「桜風医療研究所から……？」

　私はすぐにスマホを取り出し、父親に電話をかける。すると奇跡的に繋がった。

「果林か？」
「お父さん、お父さんだよね？　今無事なの？」
「ああ、お父さんは無事だ。安心してほしいが今は家には帰れない。すまないが果林1人で頑張って欲しい」
「そ、そんな……というか、お母さんが……」
「ああ、警察から聞いた。残念だが仕方ない。今から話す事は誰にも言っては行けないよ」

　いきなり秘密の話が始まるようだ。

「いいか果林。お父さんの部屋に行くんだ。そこに今回のゾンビパニックが起こった時の為のマニュアルがある。それをよく読んで耐えてくれ。くれぐれもこの事は内緒だぞ。いいな？」
「う、うん」
「じゃあ、切るよ。グッドラック」

　電話はここで切れた。ツーーと言う音が聞こえるのみだ。