ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

第1話　はじまり

「果林。あなたはお父さんのようになるのよ。ちゃんと勉強しなさい」
「はい、お母さん」

「学年3位じゃ駄目に決まってるじゃない！　1位じゃなきゃ！　ちゃんと勉強しなさい！」
「はい……お母さん」

　これが、私……田中果林の日常だ。
　私はある街にある学校に通う高校生。クラスは特別進学コースに所属している。特別進学コースは、学年トップの者だけが所属できるクラスで、夜遅くまで勉強漬けの毎日を送っている。当然部活には入っていない。勉強、勉強、予習、復習……それしかない。
　私の父親は医療系の研究所で働いている。母親は主婦で私がお父さんのようになるのをずっと夢見ている。それに母親は自分が大学へ進学できなかったのをコンプレックスにしているらしく、私に期待しているのもそれが関係あるらしい。

「はあ」

　この日。私は朝起きたら倦怠感と頭痛に悩まされた。体温を測ると38.2度。母親に病院へ連れていかれ、一通り流行り病の検査をしたがどれも陰性だった。

「風邪でしょう。ゆっくり休んでください」

　そう医者に言われ、今は自室のベッドで休んでいる。母親はいつも通り買い物に出かけた。

「ちゃんと出来る範囲で自習しておくのよ。熱はだからって勉強しないのはあり得ないから」

　そう言い残して。

< 2 / 161 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop