ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活
　彼が率いる暴走族が壊滅したとなると、他の暴走族も同じように壊滅していてもおかしくはない……かもしれない。そしてゾンビとなって今も人間に襲い掛かっているのだろう。

「仲間達はちりぢりに？」

　その問いに勇人はこくりとうなづいた。彼と会話している間もニュース番組はせわしなくゾンビについてのニュースを報道する。

「ゾンビを見つけたらただちにその場から離れて警察へ通報してください。けが人に関してですがゾンビに噛まれている場合救急車は呼ばないようにお願いします。警察を呼んでください。繋がらない場合は最寄りの自衛隊駐屯地までご連絡ください」
（ゾンビを見つけたらただちに警察を、呼べ。か……）
「まだゾンビの遺体に関してはこちらも警察を呼んでください。回収します」
（これはさっき調べた通りだ）

　女性アナウンサーは何度もゾンビを見つけたら警察へ通報するようにと促している。という事は、今ここに勇人がいる状況はかなり知られてはいけないのでは？

（そうだよね……警察呼べって言ってるんだからここにゾンビ匿ってたら絶対まずいやつだよね）

　私は薬を飲んで食べ終えた食器を洗いながら、テレビ画面を見つめる。勇人は椅子に座ったままぼおっとどこかを眺めている。
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