ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活
 彼がそう言うならこのやり方の方が良さそうだ。痛みがあるなしで考えると自分で傷をつけるより遥かにましだ。
 それにしても勇人はゾンビというより吸血鬼の方が近いようなあり方に思える。

(他のゾンビ食べたりしないのかな)
「多賀野くんはゾンビ食べないの?」
「……」

 答えはない。こうして1階のリビングに戻ると時間があれからかなり過ぎているのが理解できた。
 そろそろお風呂に入って寝なければ

「あ……」

 ふと考えたが、勇人は1人でお風呂に入れるのだろうか。

「多賀野くん、お風呂入る?」
「……うん」
「1人で入れそう?」
「……」

 返事は無い。となると介助が必要か。
 だが自分は男子とお風呂なんて入った事ないし、お風呂の介助も経験が無い。
 だが、ゾンビをお風呂に入らせないのも衛生面が心配だし異臭が発生しないかも気になる。

「……じゃあ、待ってて。先にシャワー済ませてくるから」
「ワカッタ」

 とりあえずは先に自分のシャワーを手早く済ませ、それから彼をお風呂に入れよう。
 それならお風呂場が多少汚れても大丈夫だ。
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