ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活
 私は着替えを2階の自室から引っ張り出し、脱衣所で服を脱いでシャワーを手早く浴びた。
 顔と身体も洗いシャワーを済ませて着替えると彼が待つリビングに向かう。

「おまたせ……!」
「!」

 私に気が付いたのか、成哉は目を少しだけ丸くさせた。ゾンビになってもほんの少し表情は顔に出るみたいだ。

「お風呂いこっか」

 私は彼を脱衣所へと誘導させる。途中、彼がぎゅっと私の右手を握って来たので優しく握り返した。
 脱衣所に到着すると服を脱ぐように伝える。

「わかった」

 先ほど着替えてもらったように服の着脱は出来るようだ。彼は私がいるのにも気にする様子はなくただ服と下着を脱いでいく。私は彼の身体になるべく目線を向けないようにしていた。

「脱イダ」
(……出血はどこにもなさそう)

 一瞬だけ彼の身体が目に入った。ぱっと見出血していたりしている箇所はどこにもない。左の二の腕辺りと右太ももにかさぶたらしき痕があるが、これはゾンビになってからの傷だろうか。

(痛くないのかな)
「ねえ、その傷痛くない?」
「ウン」
(やっぱり痛くないんだ)

 痛くないならシャワーの水がある程度当たっても大丈夫だろう。私はズボンの袖を太ももまでまくり上げてから彼をお風呂場に連れていく。
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