ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活
「そろそろ寝ようかなあ」

 ふと勇人に目がいった。そうだ。彼の寝床が必要になる。両親の寝室で寝てもらうか……。
 いや、ゾンビってそもそも寝るのだろうか。

(ゾンビって寝るのかな)
「多賀野くん、そろそろ寝ようと思うんだけど」
「……眠くない」
(眠くない、か……)

 スマホでゾンビ 睡眠 と検索してみた所、やはり彼らは睡眠を必要とはしないらしい。じゃあどう朝まで過ごしてもらおうか。

(私の事、守るって言ってたな……じゃあ)
「あのさ、多賀野くん。私の部屋にいてくれない?」
「うん」

 即答だった。勇人は鉄パイプを持ったままじっと私の顔を眺めている。私はスマホとマニュアルを持って彼を自室へ案内した。

「ここ」
「……キレイ」
「そうかなあ?」
(片付けしろってよくお母さんに言われてたからなあ)

 勇人は扉の前に突っ立ったまま動こうとしない。私はとりあえず部屋の照明を消してベッドに入り布団をかぶった。

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