ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活

第3話　食料調達

　目が覚める。気がつけばカーテンが朝日で明るく灯っている。

（良かった……朝だ）
「果林」

　ベッドからのそのそと起き上がると、ベッドの下で胡座をかいて座っている勇人と目があった。

「多賀野くん、おはよう」
「……腹減った」
（血が欲しいんだな）

　なんだか彼の発音発声がかなり人間のそれに近くなったような。たどたどしさが消えている。
　
（ゾンビから人間に戻りつつある……？）

　でもゾンビになったという事は一度死んでいる。という事でもある。現に今勇人は私に抱きついているが、体温は温かくなくむしろ冷たいままだ。

「ごめん、ちょっといい？」

　私は勇人の左手首に人差し指と中指を当て、脈を図ろうとするが反応は全く無い。勇人と同じ位置になるように私の脈を図るとちゃんとドクドクと反応はある。

「果林、どうした？」
「なんでもない」

　勇人は私の右首元にそっと噛みつき牙を立てて血を吸う。
　昨日と同じで痛みは全く無い。

「じゅるじゅる……」
（痛くないけど……なんでか息が上がりそうになる）

　溺れるような、甘いような。そんな感覚を覚える。

（ドキドキする……）

　血を吸い終えた勇人がすっと私の右首元から顔を離し今度は私の唇に自身の唇を重ねた。体温の無い舌が私の熱を放つ舌に巻きついて離さない。
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