ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活
「では、タイプヴァンパイアの捕獲について説明していきます」

 画面の左横からスパッとホワイトボードが滑るように運ばれた。そこには何やら細かい文字が書かれた鳥の子用紙が磁石で貼られてある。

「タイプヴァンパイアが発見されたのは、都内の港区になります。タイプヴァンパイアは20代男性で、身長は179センチになります」

 若い男性か。その点では勇人と同じである。

「採血の結果既往歴は特に無い事が判明しています。また現在生態を調査していますが、タイプヴァンパイアの名前の通り血を吸うのは認められました。彼の場合は人間だけでなく他の生き物の血も吸う事を確認しました」

 父親の説明曰く、実験用のマウスの血も吸ったのだとか。

「実験用のマウスを使い、タイプヴァンパイアに吸血された生物がゾンビ化するか否かを実験した所、10体中8体がゾンビ化しました。残り2匹に変化は生じませんでした」
(……ゾンビ化していないマウスがいる?)

 となると、タイプヴァンパイアのゾンビに吸血されたとしても100%ゾンビになる訳でも無いのか。 

「では説明は以上になります。今後もタイプヴァンパイアらしきゾンビを見つけた場合ただちに通報してください。これより質問時間に入らさせて頂きます……」

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