ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活
「……っ」

 今の所、私の身体には特に変化は生じていない……と思う。ゾンビの唾液を浴びたらゾンビになっちゃうんじゃ? と思ったが現時点ではそのような変化は特段見られない。肌の色も変わっていないし思考回路も正常なまま……だと思う。
 しばらくして勇人は出血した箇所を吸うのをやめた。満足したという事か?

「もう、いいの?」

 そう勇人に質問すると、彼は大きく首を縦に振った。おそらくもうお腹いっぱい。という事だろう。
 出血していた箇所を見ると、すでに血は止まっていたどころか、傷も跡形もなく消えていた。それに痛みも感じない。

「……え?」

 勇人が出血個所をぺろぺろと舐めた事で傷が逆にふさいだ? そんなファンタジーな事あるか。と思ったが今はゾンビが闊歩しているこの世界だ。逆に何が起きても不思議ではないのかもしれない。

(そうだ、何が起きても不思議じゃない……)

 
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