ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活
「2人はこっちで暮らすつもり?」

 そのつもりはない。家で勇人と共にいるつもりだ。それに勇人はゾンビなのでここで一緒には暮らせない。

「ううん、家で暮らすつもり。ごめんなさい」
「そっか……なら仕方ないか」

 私はこれで話が終わった。と思い階段を上がろうとした。しかし廉と春海がそれを制する。

「何? 家に帰るつもりなんだけど」
「……ここの事知ったなら、返すわけにはいかない」
(だまされた?!)

 すでに周囲にはナタや鉄パイプを持った男女がいる。これは……必ず家には帰さないと言う意志表示か。

「嫌だよ。私、家にいたい!」
「いや、それは無理だ。ここを知ったからには帰してはおけない」
「鈴木くん何言ってるの? ここには何もないじゃん。ただの避難所なんじゃないの?」
「……連れてこい」

 廉が指を鳴らして合図をする。すると廊下の向こう側から勇人と同じ肌の色をした男2人が、こちらへとガンを飛ばしながらやって来た。

「!」

 勇人が素早く反応する。彼らを勇人は知っているのだろうか。

「多賀野くんの知り合い?」
「あ、ああ……」
「あれ、タイプヴァンパイア。わかる? 通常のゾンビより強いやつらだよ」

 らんの声が部屋中に冷たく響き渡る。学校でタイプヴァンパイアをひそかに匿っていたとは……

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