ゾンビ化した総長に溺愛されて始まる秘密の同居生活
　勇人は地元の中学に入学した。勇人が入学した中学には男女問わず不良生徒が大勢いた。治安もかなり悪く授業がストップしたり生徒全員がボイコットしたり校内で不良同士が喧嘩したりするのは日常茶飯事だった。特に不良同士のけんかは1対1の小規模なものから集団による大規模なものまで様々だった。
　勇人は入学してすぐ、2年の生徒達にクラスメイトの小柄で気弱な男子がカツアゲにあっている所に遭遇した。勇人は見過ごせずにその場へと向かっていった。

「ああ？　1年のくせになんだ？」
「金をたかるのは良くない」
「はあ？　こいつなめてんのか？」
「シメたらいいっしょ」

　2年の生徒は2人。だが勇人は難なく彼らの襲撃をしのぎ、逆に返り討ちにしてしまったのだった。

「こいつ何もんだ……？」
「強すぎるっ！」

　2人はそのまま尻尾を巻いて逃げていった。彼らの姿が見えなくなってから勇人はクラスメイトの男子に大丈夫か？　と尋ねた。

「あ、ありがとうございます」
「いや、無事だったらいい」
「お、おれは……無事だよ。多賀野さんのおかげだよ。多賀野さん強いんだね」
「ま、まあ……見過ごせなかったから……」

　この成功体験が多賀野勇人を不良の道へと至らせるきっかけとなった大きな出来事だった。

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