私を変えて

「彩葉ってさ〜、ホント残念だよね〜。」

「ほぇ？」

親友の瞳子ちゃんの一言で思わずハンバーガーを頬張る手が止まる。

「はひが？」

モクモグ口を動かしながら聞き返す。

「自覚ないの？」

瞳子ちゃんがスマホから一瞬チラッと目線を上げる。

「へんへん。へんほうもふははい。」

そんなことよりこの購買の新作フィッシュバーガーめちゃくちゃウマいな。

口に物を入れながら喋る私を見て、瞳子ちゃんが眉を潜める。

「ちょっ、食べながら喋らないでよ。私がクチャクチャされるの嫌いだって知ってるでしょ？飛沫ってもんを知らないわけ？」

「ふぁい。ほへんははい・・・。」

瞳子ちゃんはちょっと潔癖ってやつらしい。中でもくちゃらー？とかなんとかいう人種が死ぬほど嫌いだっていつも言ってる。
大学生のお兄さんのカノジョが食べ物をクチャクチャ噛む癖があって、いつもイライラさせられてるらしい。

「ホントもういい年して恥ずかしくないわけ？しかも女性が！この前一緒に食事したときもクチャクチャクチャクチャ！食事中くらいおしゃべりしないで食べ物くらい口を閉じて噛んでほしい！仁の彼女だから我慢してるけどさ！クチャラーが義理の姉になるかもしれないなんて絶対無理！」

これが瞳子ちゃんの常套文句。週に一回みんなで食事をしてきた次の日には毎回必ず私相手にそう文句言ってくる。
まあ、その彼女さんも別にそんな悪い人じゃないらしいんだけど。

瞳子ちゃん曰く、「クチャクチャする癖とお喋り好きなところを直すんだったら兄の彼女として認めてやらんこともない。」
・・・らしい。

見た感じそこまで嫌ってるって訳じゃなさそうだし、瞳子ちゃんはつんでれ？ってやつなのかな。

この前それを瞳子ちゃんに言ってみたらは？って顔されちゃったけど。