冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

授業に出席せずともテストで結果さえ残せば進級できるのが私立京極学園の強みだが、裏を返せばいくら真面目に取り組もうと結果が残せなければ留年が確定してしまう。


人によっては敬遠するかもしれないが、私はこの冷たく実力主義な校風を気に入っている。

何をするも自由なところは【黎明】と同じですし。

だからこそ豹牙さんもこの学園を選んだんでしょうね。


そんなことをぼんやりと考えながら校門をくぐると、穏やかではない女子の会話が耳に入ってきた。

複数人で一人を罵倒している・・・?

いや、それよりもこの声は──。



「男にチヤホヤされてるからって調子に乗ってんじゃねーよっ!!!!」

「──何事ですか」



私の存在に気づくと、詰め寄っていた女子たちは数歩下がり、気まずそうに視線を逸らした。彼女らは確か裕次郎さんの医療班に所属している。

また、彼女らとは対照的に詰め寄られていたあやなは安堵の息をついた。
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