冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる
「くだらない話は終わったか」
「はい。たった今」
いつの間にか豹牙さんが近くに来ていて、しれっと肩を組まれた。
こうされても豹牙さんには抵抗感がない。
「くだらないって豹牙。お前も一応関係してんだぞ」
「興味ない」
呆れる浬の言葉を温度のない声でバッサリ切った豹牙さんは、本当につまらなそうにしている。いつもの豹牙さんだ。
てっきりあやなへの対応について何か言われると思ったが、どうやら杞憂だったようだ。
「それより俺腹減ったんすけど。飯まだっすか、裕次郎さん」
「俺は賢人の母親か。まぁ俺もそろそろ食いたいし、行くか。着いといで〜」
そう言いながらひらりと踵を返した裕次郎さんの後に続く。
構成員たちが私たちの歩く姿を目で追っているが気にしない。
去り際に浬が「後は任せたからなー」と自身の補佐に言い、バタン、と扉を閉じた。
ここからは私たちの時間だ。
そう思うと心がスっと軽くなった。