冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる
「必要ありません。あと、豹牙さんのことも苗字で呼ばないでください」
ぴしゃりと言い切ると、あやなはまた肩を大袈裟にビクつかせた。
私たちが苗字を名乗らない、呼ばせないのは【黎明】での功績は親の力ではなく全て自身の力によるものだと誇示するためだ。
今では教員すらも私たちを名前で呼ぶ。
高等部から編入してきたあやなもそのことは耳にしているはずだ。
逆に【堕天】は家の力をひけらかすように苗字で呼び合っている。
まぁ実際【堕天】が学園を支配できていたのは金をものを言わせて教員と生徒を脅し続けたからなんですけどね。
「ふぇっ、ごめんなさい!まだ慣れなくって・・・!でも、そんな・・・豹牙さんにわたしは必要ないんですか・・・・・・?」
「さぁ、私には分かりません。ただ【黎明】には必要だと思いますよ」
おかげで姫問題は解決されましたし。
だが本人の望んだ回答ではなかったらしく、あやなは分かりやすくしょんぼりとした。
「そうですか・・・」
「どうかされました?」
「・・・わたし、本当は男の子が苦手なんです」
いきなり何の話ですか。