冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる
越境の果てに
夏休みが終わり、今日は始業式。
私はそれには行かず、自室で物思いにふけっていた。


豹牙さんを好きだと自覚したら色々と見えてくるものがある。


例えば豹牙さんが私に姫になれも言った理由。

あれは男の人として意識させるためにそう言ったんですよね。
私の中で豹牙さんは良くも悪くも"豹牙さん"として確立されていたから。


他にも、告白せずにキスしたのは私が逃げない方法でご自身の好意を遠回しに伝えるためだ。

もし自覚する前に告白されていたら間違いなく断っていたし、それだけならまだしも恋心が豹牙さんの足枷になってはいけないと幹部を辞退していた可能性も十分考えられる。
というかそれ以外考えられない。

豹牙さんはそこまで読んでたんでしょうね。だからこんな回りくどいことを・・・。


私が豹牙さんと共に歩んでいきたいと思っているように、豹牙さんも私との未来を考えてくれたんだ。


そう思うと堪らなくなって、布団を頭から被った。


豹牙さんはいつ私への好意に気づいたんでしょうか。

時期は検討もつかないけれど、間違いなく言えるのは、そのときから私から豹牙さんへの好意にも気づいていたということだ。
先日私が豹牙さんの気持ちにすぐ気づいたように。
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