冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

海辺のベランダで私が同じ気持ちだと思ったのも、無意識に好意を感じとったからなんでしょうね。

綺麗だとか可愛いだとかそんな気持ちが混ざりあって好きの形を成しているから。

恋愛小説にありがちな世界がキラキラしてるとかそういうのじゃなくて、見落としていたものを拾っていく感覚。

その度に心はふわふわしたり、くすぐったくなったりする。


だが、いつまでも余韻に浸っているわけにはいかない。


私にはまだやることが残っている。

その一つと関わりのある手紙を手にとる。


『冴妃さんへ
始業式の日の15時に校舎の裏で待っています。
あやなより』


可愛らしい便箋にそう綴られていた。

私の靴箱に入っていたらしく、たまたま発見した補佐が届けてくれたのだ。

正直気乗りはしないがこのまま放置して何かやらかされるよりはマシなので、眠い身体を起こして制服に手を伸ばした。






指定された校舎の裏に来てからしばらく経ったが、人の気配が全くない。
< 184 / 253 >

この作品をシェア

pagetop