冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる
何度見た表情でしょうか。



「それで、何をするつもりだったんですか?」

「なに・・・って、み、みんなの役に立とうと」

「自分の身すら守れないあなたがなんの役に立つんですか?」

「それは・・・・・・」



あやなはそこで口を噤んだ。手をもごもごさせるばかりで、次に繋がる言葉が出てこない。

そんな様子を見て、私の頭はだんだん冷めていった。


何故、考えもなしに危険な行動をしたのだろう。

もし姫が怪我を負ったり【堕天】に拉致されたとなれば【黎明】の名に傷がつく。


豹牙さんのことが好きなのに、何故豹牙さんの不利になることをするのか。


これは怒りではなく、ただの疑問。
そして答えを得たとしても到底理解できない代物だ。

理解できないことに脳のリソースをさいている暇はない。

ひとまず今回のあやなの処罰をどうしようかと考えたところで、痺れを切らした豹牙さんが先に口を開いた。
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