冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる
隣にいる賢人が「まじダルすぎる」と悪態をつき、後ろに控えている浬も苦笑いする。
双方ともこの状況に飽き飽きしていてやる気がない。
ここは私がしっかりしないと。
「2人ともちゃんとしてください」
スマートフォンを持つ手はぶらさないように、顔だけ後ろを振り返った。
凛とした声で空気を一変させる。
「これは豹牙さんの命令です。必ず遂行してください」
ぴしゃりと言い切ると2人の背筋も僅かに伸びた。
これが2人ではなく構成員たちだったら縮み上がっていただろう。
さすがは我が【黎明】の幹部だ。
不良の片割れが男子生徒に手を出そうとしたところで撮影を辞め、カメラアプリを閉じた。