冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

「中間テストの結果発表のとき、冴妃が逃げたら豹牙さんがすぐに追いかけたのを見ただろ」


中間テストのとき・・・。
数学で1位になれたのが嬉しくて、ふわふわとした気持ちのまま豹牙さんに報告したあの日。

豹牙さんの視線の先には冴妃さんがいて、冴妃さんが走り出したと同時に、豹牙さんもその後を追ったんだ。

わたしのことはちらっとも見てくれなかったのに・・・。


賢人さんは被告人に判決を言い渡す裁判官のように告げる。



「それがあの二人の全てだ。
豹牙さんは冴妃を手放す気なんてさらさらねーんだよ」



それからのことはよく覚えていない。

気づけばネクタイはライターで燃やされて榊館から追い出されて、【黎明】にも【堕天】にも属していない生徒たちが暮らす学生寮に強制送還されていた。

荷解きをする気にはなれなくて、ベッドに身を任せた。


わたしはいつから間違えてたのかな。

今日みんなのところに駆けつけたとき?
勉強合宿の夜に豹牙さんと会ったとき?
創立記念日パーティで豹牙さんと話せなかったとき?
それとももっと前のこと?
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