冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

・・・そもそも、姫になったことが間違いだったのかな・・・・・・。

考えれば考えるほど分からなくなってきたから、気分を紛らわせようとスマホを開くと、そこには一件の通知が来ていた。

冴妃さんから送られてきたファイルだ。

香菜子ちゃんが【黎明】を追放された理由が分かるって言ってたよね。

わたしはぼうっとした頭でそれを開き、書かれていた文章を読んだ。

そして全部読み終える頃には涙が止まらなくなっていた。


『妖艶な幹部様はモブ女の私を溺愛中!?』天乃結愛/著

わたしと豹牙さん、香菜子ちゃんと裕次郎さんが結ばれる物語。


そこはわたしたちにとって理想の世界だった。

香菜子ちゃん、ごめんね。
香菜子ちゃんはこの世界を作るためにたくさん頑張ってくれたんだね。

今思えば創立記念日パーティのときに選んでくれたドレスも、この世界に書かれているものと全く同じだった。

今まで一人で背負わしてごめんね。

でももうこの世界を実現されることも出来なくなっちゃったんだ。

香菜子ちゃんを追い出した冴妃さんを説得できなかったし、冴妃さんに怪我を負わせたせいでわたしが【黎明】を追放されたから。
< 204 / 253 >

この作品をシェア

pagetop