冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

香菜子ちゃんにまた会えたらたくさん謝ってもう大丈夫だよって言ってあげたいな。

だってね、香菜子ちゃん。


「こんなところでどうしたの?」


わたし、榊館から今の寮に行くときに素敵な人に会ったんだ。


「もしかして【黎明】から追放された感じ?僕でよかったら話聞くよ」


彼は落ち込んでいるわたしを心配そうに見つめてそう声を掛けてくれたの。

でも誰だか分からなかったら「だ、誰ですか・・・?」って訊いたら、彼は太陽のように明るいオレンジ色の目を細めて微笑んでくれた。


「ん?あぁ、僕?」


彼のはちみつ色の髪が太陽に照らされてキラキラと瞬く。



「【堕天】の初代総長、城ヶ(じょうがさき)(さとる)‪──って言ったら分かるかな?」



そう告げた彼はまるで神様のようだった。

このときわたしの頬はぽうっと熱くなって、胸がトクンッて高鳴ったの。

だから豹牙さんのことはもういいんだ。


「これからよろしくね、姫ちゃん」


わたしには悟さんがいるから。
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