冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる
天を堕とす
「豹牙さん!豹牙さん!!」


土砂降りの中、アスファルトに横たわる豹牙さんを強く抱き寄せる。

こんなことをしている暇があったらすぐに裕次郎さんの元へ行くべきなのに、私はただ名前を呼びかけることしか出来ない。


「起きてください豹牙さん!私です!冴妃です!豹牙さん・・・!!」


壊れたおもちゃのように似た言葉を繰り返す。

まるで思考と身体が完全に分離したかのようだ。

その間にも豹牙さんの頭から血がどくどくと流れていく。


「豹牙さんっ!!!」


喉が枯れそうなほど必死に叫ぶ私を嘲笑う男がいた。


「アッハハッ、【黎明】の総長も幹部も大したことないね」


【堕天】の初代総長、城ヶ崎悟。

京極学園に入学後、暴走族【堕天】を結成し、裏社会との繋がりと自身の家の力を使い、中学二年生にして学園の支配者になった男。
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