冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる
そして今の状況を作った全ての元凶。
「本当に無様だ」
「──黙れ!お前らが卑怯な真似をしたからだろう!それ以上豹牙さんに近づくな!!」
嘲りながらジリジリとこちらに近づいてくるヤツを、憎しみを込めて睨めあげる。
そんな私とは対照的にヤツは笑みを深めた。
「何、卑怯だって?まさか正当性でも求めてんの?ジョークはよしてよ」
「来るな!!」
私の静止の声を無視して、ヤツは私の目の前にしゃがみ込んだ。私はただ豹牙さんを抱きしめることしかできない。
ヤツの双眼がゆったりと私を捉える。
「僕らは所詮暴走族。卑怯な手を使ってなんぼでしょ」
そう言ってヤツは私の顔に手を伸ばした。
「・・・・・・あぁ」
夢か。しかも悪夢の方。