冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる
豹牙さんは毅然と負けを受け入れていた。
私はそれを強いと思う反面、悔しくもあった。

もう二度とこんな思いはしたくない。

絶対に。






「お邪魔しまー・・・す」

ノックをしても反応がなかったので寝ているかもしれないと思い静かに入室したが、豹牙さんの姿はどこにもなかった。

土曜日だというのにお仕事に行かれたのでしょうか。それかお買い物か。
まぁそこは別にどちらでもいい。

私がここに来た理由は豹牙さんに会いたいというより、豹牙さんを傍に感じる空間にいたいという気持ちの方が近いからだ。

本人不在の部屋に居座るのは非常識だと思うが、豹牙さんなら許してくれるだろう。何だかんだ私には甘いですからね。

昼食でも作ってお帰りを待とうか・・・。あぁでもいつ帰るのか分からないんで辞めておきましょう。

その代わり何か新しい本はないかと本棚を物色しようしたが、それよりも先に目が止まった物があった。

豹牙さんがいつも座っているビーズクッションだ。

豹牙さんはここで読書したりスマートフォンをいじったり私が料理するところをじーっと観察したりする。
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