冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

そういえば今って・・・。


豹牙さんに、押し倒されている。


改めて状況を把握した途端、ぶわわわっと頬が火照るのがわかった。


豹牙さんに襲うつもりがなくても、この体勢は流石にまずいんじゃ・・・。


一度意識するとどこを見たらいいのか分からなくなって目を泳がせると、不意に目が合ってしまった。

その距離が思っていたよりも近くて、それで。


「・・・この状況で顔赤くしてどうすんだよ」

「っこれは、相手が豹牙さんだから、です」

「どうだかな」


豹牙さんはどこか機嫌が良さそうだ。
私の慌てる様がそんなに面白いか。

というか"襲われる"って殴られるとかじゃなくて"こっち"だったんですか?
なら何も心配要らないのでは・・・?


「あの、豹牙さんは襲われるって言いましたけど・・・そもそも誰が私を襲うっていうんですか?」

「飢えた構成員とか」

「え、ないですよ。彼らにとって私はただの幹部にすぎません」
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