冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる
「もういいですよ。証拠は押さえました」
──そう合図したが最後、1分足らずで不良2人組を制圧した。
「ったく何で【黎明】の幹部が3人も揃って雑魚の相手なんか・・・」
我先に逃げていく不良たちを眺めながら賢人が愚痴を零す。
「気持ちは分かりますが仕方ないでしょう。今ストライキしてる人多いんですから」
「あー・・・姫問題ねぇ」
頭の後ろで手を組みながら浬が遠い目をする。
「ほら帰りますよ、賢人、浬」
空気を変えるために言ったつもりなのに、浬はより渋い顔をした。
「ずっと言おうと思ってたんだけどさー、賢人を呼び捨てするのは分かるけど、なんで俺は呼び捨てなの?年上だよね?」