冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる
でも、私は。
「私は、【黎明】の幹部です」
沈黙を切り裂くように、凛とした声で告げた。
幹部という地位は私が必死に努力して手に入れたものだ。
絶対に失いたくない。
私の反応を予想していたのか、豹牙さんがフッと小さく笑った。
「あーっそ」
しかも私の頭をくしゃっと撫でながら。
いつもとは違う、私をからかうような笑いと撫で方のせいで、頬に熱が灯るのを感じた。
胸がきゅぅと鳴いた。
この瞬間、何故か負けた気がしてならなかった。