冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

【黎明】

それは一人の総長と四人の幹部からなる、
私立京極学園最大の暴走族の名前だ。


彼らはかつて学園を支配していた【堕天】を打ち砕きトップの座に君臨した。


総長の名は豹牙。

絶対的強者が冠するに相応しい素敵なお名前だ。

御年17歳になられた。


幹部も全員高等部生で学年別に言うと
3年生の裕次郎(ゆうじろう)、
2年生の浬、
1年生の賢人と冴妃(さき)──つまり私だ。


紅一点ということで最初は構成員たちから反発されたが、実力を行使したら秒で黙った。

その一部始終を見ていた豹牙さんが肩を震わせて笑っていたのを今でも鮮明に覚えている。

ご本人に言ったら怪訝な顔をされそうだけど、忘れられないのだから仕方ない。

だって豹牙さんの笑顔を見たのはそれが二度目だったのだから。



それはさておき、今【黎明】ではある問題が発生している。