冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「わたしが後継者って……これからどうなるの」
一般家庭から突然お嬢様になるなんて、不安しかない。
すると、部屋の扉がノックされた。
そういえば、このお屋敷にはメイドさんや執事さんがたくさんいるんだっけ。
おじいちゃんは、ここにはあまり帰ってこないみたいで、別宅に住んでいるらしい。
わたしのお世話をしてくれる専属の執事がいるって聞いてるけど。
「柚禾お嬢様。失礼いたします」
部屋の中に入ってきたのは、わたしと同い年くらいの執事服を着た男の子。
暗めのブラウンの髪に、それと同じ色をしたきれいな瞳。
背はとても高くて、凛とした姿に思わず釘付けになってしまうほど。
こんなかっこいい男の子、はじめて見た。
じっと見惚れていると、わたしがいるベッドに近づいてきた。
びっくりして思わず身体を起こすと。
「ずっと会いたかったよ……ゆず」
「え……?」
「俺の知らない間にこんな可愛くなって……」
わたしの髪にスッと触れて、グッと顔を近づけてきた。
うぅ、近い……。
ベッドについた片手を後ろに下げようとして失敗。