冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
危うく埜夜くんのペースに巻き込まれるところだった。
「ゆずを抱きしめて眠るのはいい?」
「埜夜くん、ひとりで寝るの寂しいんでしょ……?」
「ふっ……まあ、そういうことにしておこっか」
ドキドキするけど、やっぱり安心感もあって。
埜夜くんの温もりに包まれると、どんどんまぶたが重たくなってくる。
眠気がグッと強くなってきて、うとうと……。
ぼんやりする意識の中でも、埜夜くんが優しく頭を撫でてくれてるのがわかる。
「ゆず……」
「……ん」
心地が良くて、とっても安心する声に包まれながら。
「……約束は必ず守るから。誰よりも柚禾のそばにいる。だからもう少しだけ待ってほしい」
埜夜くんの声が、どんどん遠くなってきた。
眠りに落ちる寸前――。
「過去のことも、今の俺の気持ちも――タイミングが来たらぜんぶ伝えるから」
ぼんやりと、そんな言葉が聞こえた。