冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
お嬢様であるわたしと、執事である埜夜くん。
そこに差があるなんて、考えたこともなかった。
「この学園の特進科のお嬢様たちはね、家柄が立派な子たちばかりだから、ご両親が決めた相手と婚約をする場合もよくあるの」
「…………」
「羽澄さんも、もしかしたら羽澄家にふさわしい立場のご子息との婚約の話がこれから来るかもしれないわ」
理事長さんの言う通り、将来自分の希望がぜんぶ通るとは限らないんだ。
「でもね、それはあなたの家の都合の話であって、ぜったい従わなければいけないわけでもないのよ。だからね、羽澄さん自身の気持ちを大切にしてほしいなって思うの」
「わたしは正直そういうの今まで考えたことなくて。でも、自分がそばにいたいと思える相手と一緒にいるのが幸せなのかなって……思います」