冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
すると、門の前に一台の車が止まった。あれは、わたしの迎えの車じゃない?
車の扉が開いて、スーツを着た男の子が颯爽と降りてきた。
さらっとした明るい髪に、耳元に光るピアスがとっても印象的で。
背も高くて、スタイルも良くて。
あれ、でも……この男の子の顔、どこかで見覚えがあるような。
「柚禾……会いたかったよ」
「……え?」
ふわっと香る、バニラの甘い香水の匂い。
え、あれ……? わたし抱きしめられてる……?
「やっと……やっと柚禾に会うことができた」
一瞬、何が起きてるのか目の前の光景が受け止められず。
「僕だよ。桔梗還琉……覚えてないかな」
「え……あっ、もしかして和菓子屋さんの還琉くん?」
「そうだよ。覚えててくれてうれしいな」