冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「もう柚禾をひとりにしない。僕もしばらく日本に滞在するから」
「えっと、えっと……」
「とりあえず婚約が先かな」
ま、まってまって……‼︎
話が急展開すぎてついていけない‼︎
「還琉くんストップ! 婚約とか、結婚とか何かの冗談じゃ――」
「本気だよ。僕はずっと柚禾のことが好きだったんだ」
そ、そんな。
還琉くんがわたしを好き?
「僕がそばにいるから……柚禾はもうひとりじゃないよ」
ふと、さっきの理事長さんとの会話が頭に浮かんだ。
羽澄家の後継者になった以上、還琉くんみたいな家柄の人と婚約することになるのかな。
ただ――やっぱり家柄とか関係なく自分の気持ちを大切に、本当にそばにいたい人と一緒にいたいと思う気持ちは変わらない。
それに、どうしてだろう。