冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
両親のことや、おばあちゃんのこと……。
過去は悲しいことばかりしかないと思っていたけど……。
こうして楽しい思い出もあったんだって、なんだか心があたたかくなる。
「柚禾はやっぱり笑顔がとても似合うね」
「え?」
「昔からずっと……僕は柚禾の笑顔がとても好きだった。もちろん、そこだけじゃなくて柚禾の良さはたくさん知ってるつもりだよ」
還琉くんが、真剣な瞳でわたしを見る。
真っすぐで、すべてを覚悟したような表情。
「それで、さっきの婚約の話だけど……僕は本気だから」
「…………」
「僕は幼い頃からずっと、柚禾が好きだったんだ」
はじめて還琉くんの気持ちを聞いた。
会えない時間が続いていたのに、ずっとわたしを想い続けてくれていたんだ。