冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
埜夜くんは相変わらず黙り込んで、険しい顔をしていた。
そこからなんだか気まずい空気のまま。
夕食のときもあまり会話はないし。お風呂から出て髪を乾かしてくれるときも、お互い話すことはないまま。
あっという間に寝る時間になってしまった。
このまま何も話せないのは、なんかモヤモヤする。
ちゃんと話をしたくて。
「埜夜くんは、どう思う……?」
聞き方が唐突すぎたし、これじゃなんのことかわからないよね。
「あ、えぇっと――」
「幼なじみとの婚約のこと?」
「っ、うん」
正直、埜夜くんからなんて返ってくるか少し不安。
婚約したらいいんじゃないなんて言われたら――。
「婚約したほうが……柚禾にとっては幸せかもしれない」
「……え」
「俺は柚禾が幸せになる道を選んでほしいから」