冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
後継者としての覚悟と不安
「はぁ……緊張する……」
「いつものゆずらしく振るまえばいいと思うけど」
わたしは今、人生で最大級に緊張してる。
「発表の場なんて立ったことないのに……」
数日前、おじいちゃんがいる別宅に呼ばれた。
そこで告げられた。
正式にわたしを羽澄家の後継者として、親戚一同に発表するらしい。
そして今日がまさにその日。着物を着て別邸まで行かなきゃいけない。
――で、今ちょうど着付けが終わったところ。
「自分で着付けできるようになったし、ゆずも少しずつ成長してるじゃん」
「埜夜くんがいろいろ教えてくれたおかげかな。ありがとう」
まだ完璧とまではいえないけど、少し前に比べたら自分でできることも増えてきた気がする。
緊張するし不安も大きいけど、気持ちを切り替えて落ち着かなきゃ。