冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「ゆず、本当に無理してない?」
「さっきは弱音吐いちゃったけど大丈夫だよ」
「何かあれば俺にはすぐ言ってほしい」
「うん、ありがとう」
今は周りから何を言われても、受け止める覚悟が必要だと思うから。
埜夜くんはきっとこの前の大人たちに言われたこと、気にしてくれてるんだ。
* * *
車で羽澄家の別邸に到着。
「わ……こんなに広いんだ」
門をくぐると緑がたくさん広がる庭園、広々とした池まであって鯉が泳いでる。
わたしが今住んでるお屋敷も相当広いけど、この別邸も敷地がかなり広い。
案内してくれる人がいて、埜夜くんと一緒に和室に通された。畳の部屋で、長いテーブルとそれぞれ座椅子が用意されてる。
庭園側は一面が窓になっていて、自然の光が余すことなく入ってくる。