冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
上座と呼ばれる、いちばん偉い人が座る席にすでにおじいちゃんがいた。
「久しぶりだな柚禾」
「お、お久しぶり……です」
おじいちゃんとは、あまり顔を合わすことがない。
今も変わらず、普段はわたしが住んでるお屋敷じゃなくて、会社に近い別宅で生活してる。
たまにお屋敷に帰ってくることもあるけど、会うタイミングはあまりなかった。
それもあって、おじいちゃんとの距離感がいまだによくわからない。
「柚禾はわたしの隣に座りなさい」
「は、はい」
思った以上に荘厳な空気感。
徐々に人も集まり始めて、みんなまずおじいちゃんの席に挨拶に来る。
挨拶を終えると、みんな不思議そうな顔をしてわたしのほうを見る。