冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
それからずっと、周りの大人たちみんなわたしを見ては何かヒソヒソ話してる。
「おじい様の隣にいる子は?」
「あんな子、親戚にいたかしら?」
「おじい様から今日重大な発表があるって聞いているけれど……それに関係する子なのかもしれないわね」
「噂では正式に後継者が発表されるらしいわよ。あの子が後継者候補なのかしら?」
「だとしたら、……さんが不憫よね」
「たしかに。後継者の座はほぼ確実って言われていたみたいだし」
慣れない場と、知らない人ばかりで緊張するし落ち着かない。
それに、いざこの場に来てみると雰囲気が重くて不安になってくる。
今わたしのそばに埜夜くんはいない。
少し離れた場所で見守ってくれてる。
不安になるたびに埜夜くんのほうを見ると、必ず目を合わせてくれるからすごく安心するんだ。