冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
そして時間になった。進行役の人がいて、その人を中心に話が進んでいく。
料理も運ばれてきて、少し口にするけど味わってる余裕なんかちっともない。
常に周りにいる人たちの視線を浴びながら、平常心を保つほうが難しい。
「それでは会長より重大な発表がございます」
周りが一気に静まり返った。
「今日こうして集まってもらったのはほかでもない……羽澄家を継ぐ人間をここで発表するためだ」
おじいちゃんの目線が、しっかりわたしに向いた。
そして――。
「わたしの実の孫である柚禾を、正式に羽澄家の後継者とする」
さっきの静けさから一変、周りのざわめきがひと際大きくなった。
「実の孫って、あの子がもともと羽澄家の子だったのか?」
「だとしたら、なんで今まで姿を見せなかったんだ?」