冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「あの子、柚哉くんの娘だよな……? たしか柚哉くんは結婚のために羽澄の家を出たんだろう?」
「その娘が今さらになって後継者か。そうなると、もうひとりの後継者候補の子はどうなるんだ?」
いろんな会話が飛び交って、周りからの重圧に負けてしまいそう。
ただ、ここで逃げ出すわけにもいかない。強くならなきゃいけない。
はじめの頃は、後継者だとかそんなの無理だって否定的な考えばかりだったけど。
覚悟を持って、この場にいるんだから。
今すぐに周りに認めてもらうのは難しいかもしれない。
でも――。
すると、いきなりドンッとテーブルを叩いたような大きな音がした。
「こんな子が、羽澄の家を継ぐなんて納得できない!」
「ふ、史奈。落ち着いて」