冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「無理よ! どうしていきなり現れた子が後継者になるの……! わたしの立場はどうなるの……⁉︎」
史奈さんがものすごい形相で、大きな声で周りに訴えかけてる。
「わたしは幼い頃からずっと自分のやりたいことを犠牲にして、たくさん努力してきたの……! 羽澄家の後継者としてふさわしい人間になるために……!」
周りの人たちの会話が聞こえた。
史奈さんは、ほぼ間違いなく将来羽澄家を継ぐと言われていたらしい。
羽澄家の長男は、わたしのお父さん。
そして次男が史奈さんのお父さん。
わたしのお父さんが羽澄家を出た以上、羽澄の家を継ぐのは次男である史奈さんのお父さんになる。
けど、史奈さんのお父さんは病気で亡くなっているので、その娘である史奈さんが後継者候補だと言われていた。