冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情


「無理よ! どうしていきなり現れた子が後継者になるの……! わたしの立場はどうなるの……⁉︎」


史奈さんがものすごい形相で、大きな声で周りに訴えかけてる。



「わたしは幼い頃からずっと自分のやりたいことを犠牲にして、たくさん努力してきたの……! 羽澄家の後継者としてふさわしい人間になるために……!」


周りの人たちの会話が聞こえた。


史奈さんは、ほぼ間違いなく将来羽澄家を継ぐと言われていたらしい。


羽澄家の長男は、わたしのお父さん。

そして次男が史奈さんのお父さん。


わたしのお父さんが羽澄家を出た以上、羽澄の家を継ぐのは次男である史奈さんのお父さんになる。


けど、史奈さんのお父さんは病気で亡くなっているので、その娘である史奈さんが後継者候補だと言われていた。



< 146 / 242 >

この作品をシェア

pagetop