冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「将来、羽澄の家を継ぐ可能性があったから、どんなことだって我慢して努力してきた。なのに、あなたが現れたせいで、それがぜんぶ無駄になったの……!」
周りにいる大人たちがなだめようとしても、史奈さんの怒りは全然おさまる様子がない。
「いきなり現れたあなたが後継者って、誰が納得すると思うの⁉︎ あなたが後継者だなんて、わたしはぜったい認めない!」
史奈さんがわたしのほうに来て、右手を思いっきり振り上げたのが見えた。
「あなたさえいなければ……!」
とっさに身体が動いて、史奈さんを抱きしめていた。
「……はっ、ちょっと急になに⁉︎」
このまま史奈さんが感情的になって、誰かを傷つけてしまうのは違う。