冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
いつも当たり前のようにしてもらってたけど、それは当たり前じゃないんだ。
それに朝食もわたしが苦手な食材がたくさん入ってる。
今までずっと、食事で苦手なものが出てきたことがなかった。
夕食のときもあまり食事が進まない。
「柚禾ちゃん、大丈夫? 食欲ない?」
「あ、えっと……わたしじつは結構偏食で。食べられるものが少なくて」
「そうだったんだ。ごめんね、全然気づけなくて」
「ううん、加賀美くんは何も悪くないよ!」
でも今までこんなことなかったのは、どうしてだろう?
すると、部屋の扉がノックされて慌てた様子でシェフの人が入ってきた。
「柚禾お嬢様! 大変申し訳ございません!」
「え、え?」
「以前から柚禾お嬢様の苦手な食材をうかがっていたのですが、ここ数日別のシェフが料理を作っており、配慮が足りておらず申し訳ございませんでした……!」