冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
埜夜くんと離れてまだ数日だっていうのに、これじゃ先が思いやられる。
それに、いちばんなんともいえない気持ちになる瞬間がある。
「柚禾ちゃーん! おはようっ!」
「あ、実海ちゃんおはよう」
実海ちゃんと埜夜くんが、クラスにやって来た。
手をブンブン振って、こちらに小走りで向かってくる実海ちゃん。
「柚禾ちゃ……うわっ‼︎」
転びそうになる実海ちゃんを、とっさに埜夜くんが受け止めた。
「栖雲くんナイス! ありがとう」
「いいえ。気をつけてください」
変なの……埜夜くんも実海ちゃんも何も悪くないのに。
胸のあたりが勝手にモヤモヤする。
埜夜くんが、わたし以外の女の子のそばにいるのがこんなに苦しいなんて、知らなかった。
そして、一日の授業はあっという間に終了。