冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「あれ、リボンうまく結べてないかも」
鏡の前で何度も結び直してるけど、なんだか不格好かも。
縦結びになったり、うまくいかない。
「ゆず」
「わっ、びっくりした!」
いきなり背後に人の気配。
すると、わたしがリボンを結ぶのに苦戦してるのに気づいたのか。
「リボン貸して」
「自分でできるよ」
「さっきから何度も結び直してたのに?」
「なっ……! 見てたの?」
「俺がやるから」とリボンを取られて、結局結んでもらうことに。
「あと少しで結べそうだったのに」
「いいからじっとして」
わたしより手際いい……。
ジーッとリボンを見てると。
「少し顔あげて」
「な、なんで?」
「いいから」
言われるがままにすると、思ったよりずっと顔が近くてびっくり。
「やっと俺のことちゃんと見た」
「へ……?」